割り切れなさ

まだ完全には消化しきれないことがある。

 

髭狸の、私にたいする指導方針について。

彼は絵画史に名を残しておかしくないぐらいの眼を持った絵描きではある。

だが、わたしはそういうタイプではない。

むしろエンジニアリングの才に恵まれている。

髭狸に師事して得たものは多いが、その逆に失った機会もこれまた多い。

おかげで、画業では生計を立てることができなかった。

 

そもそも映画監督を目指したのは『プロスペローの本』との出逢いだった。それ以前に美術部に所属していた訳でもなく、偶にラクガキする程度だったのに。ところが一念発起して 3DCG デザイナーとして社会に出て……あれこれするうちに幾星霜、もう人生の折り返し地点も過ぎてしまった。

 

我が娘 Miranda は不本意な出来になっている。

スキン・ジオメトリーやリギングの観点から見ると及第に達しているかに見えるが、テクスチャー+スカルプトが素人同然のレヴェルに留まっている。
正直、個人的な「手仕事に頼った」解決の方向は困難で、ギャラを払って同業者を雇うか、なにか工学的な技術と組み合わせるかしないと、これ以上のクオリティー・アップは困難である。

もともと、いくらかのアイディアには恵まれていたのに、それを大きな成果に結びつけることができなかったのは、資金力不足だったり戦略性の欠陥である。端的にいうと、業病によってもたらされた境遇を克服できなかった所為である。

この克服を実現するために……別のプロジェクトへの合流を考え始めている。